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【取材記事】牧野記念庭園 寄付金活用レポート:博士の思いを未来へつなぐ取り組み<前編>
2025年8月29日|カテゴリー:牧野記念庭園プロジェクト

日本の植物分類学の父・牧野富太郎博士が、晩年の30年以上を過ごした大泉の自宅跡地にある牧野記念庭園。
現在、「練馬みどりの葉っぴい基金 牧野記念庭園プロジェクト」にご支援いただいた寄付金を活用し、展示の改善や施設整備などが少しずつ進められています。<前編><後編>の2回にわたり、博士の思いをつなぐ、その活用状況をお伝えします。
展示品がより見やすく、より楽しめるように
今回、お話を聞かせてくれたのは、学芸員の田中純子さんです。
「2023年に牧野博士をモデルにしたNHK連続テレビ小説『らんまん』が放送されてから、来園者が飛躍的に増加しました。ドラマで博士のことを知って、たくさんの方が訪れてくださって本当にうれしかったのですが、その影響で『めくり帖』が傷んでしまって…」と田中さん。

博士が実際に使っていた採集道具や描画道具、博士の著書や植物画などが展示された常設展示室に設置された「めくり帖」は、来園者が自由にページをめくりながら、博士の植物画や写真を楽しめる人気展示。あまりの人気ぶりに、ページの台紙や綴じ金具がボロボロになってしまったのです。


表紙も汚れが目立ちます
そこで、令和6年度(2024年度)に寄付金を活用し、この「めくり帖」を新しく作り直すことになりました。
新しい「めくり帖」は、内容にも変更が加えられました。
「これまでメインだった植物図だけでなく、若い頃の博士が植物採集を楽しむ姿や、家族と過ごす穏やかな晩年の写真も追加し、博士の人柄をより身近に感じられる工夫を凝らしました」
新たに加わった写真の中には、博士のひ孫である学芸員の牧野一浡(かずおき)さんが所蔵するものや、高知県立牧野植物園から許可を得た貴重な写真も含まれます。田中さんによると、「家族に囲まれた晩年の写真がスタッフの目に留まり、『らんまん』制作のきっかけの一つになったと聞いています。こうした写真を通して、博士の人間的な魅力も伝えていきたいですね」と、リニューアルの意図を語ってくれました。


右が以前のめくり帖、左が新しくなっためくり帖。リング部分と台紙が耐久性の高い素材に。また、表紙に説明を追加するなど、細かな変更がなされています
展示品の名前や説明を書いたキャプションプレート。寄付金はここにも活用されています。
「これまで、追加や変更になった展示品のキャプションプレートはスタッフの手作りで対応していましたが、従来からあるプレートとの統一感を持たせるために、記念館リニューアル当時の仕様に合わせて色や書体にこだわって制作しました」

60点ものキャプションが新しくなりました!
新しいキャプションプレートは、季節ごとに展示替えをする小さな展示コーナーで使われています。ここでは、春にはサクラ、夏にはサクユリ、秋にはヒガンバナなど、博士の描いた植物図が季節に合わせて楽しめます。

夏はサクユリの植物図を展示中。新しい「サクユリ」のキャプションプレートにも注目してみてください

より見やすく美しい展示になりました
団体客に好評のガイディングイヤホン
これまでは、団体見学者に対して学芸員が行う解説が、屋外では聞き取りにくいという声が多くありました。
そこで寄付金を活用して導入されたのが、30台のガイディングイヤホン!
ざわざわした屋外でも、学芸員の声がクリアに聞こえるようになり、団体客に大変好評とのことです。

※学芸員の解説を希望する場合は、1か月以上前に牧野記念庭園ホームページから申込が必要です。(10名以上の団体見学のみ)
牧野記念庭園の未来のために
「『らんまん』をきっかけに博士のことを知っていただき、牧野記念庭園プロジェクトに寄付をしてくださる方が本当に増えました。とてもありがたいです。今後とも応援よろしくお願いします」と田中さん。

入口に設置された募金箱。「入園が無料なら寄付します」と、快く募金してくださる来場者も多いそうです
皆さまのご支援が、牧野博士の想いを次世代へつなぐ大きな力になります!
次回<後編>(10月更新予定)もお楽しみに!
牧野記念庭園プロジェクトに寄付をして応援しよう
牧野記念庭園に生息している、牧野富太郎博士ゆかりの貴重な植物の保全や施設の展示などを充実させるため、令和6年度に引き続き寄付を受け付けます。
[牧野記念庭園プロジェクト詳細]
練馬区立牧野記念庭園
所在地:練馬区東大泉6-34-4
開園時間:9時~17時
休園日:火曜(祝日は開園、次の平日が休園)、年末年始
[練馬区立牧野記念庭園公式サイト]