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【取材記事】牧野記念庭園寄付金活用レポート:博士の思いを未来へつなぐ取り組み<後編>

2025年10月22日|カテゴリー:牧野記念庭園プロジェクト

日本の植物分類学の父・牧野富太郎博士が、晩年の30年以上を過ごした大泉の自宅跡地にある牧野記念庭園。
現在、「練馬みどりの葉っぴい基金 牧野記念庭園プロジェクト」にご支援いただいた寄付金を活用し、展示の改善や施設整備などが少しずつ進められています。
<前編><後編>の2回にわたり、博士の思いをつなぐ、その活用状況をお伝えします。<後編>は、「後継樹の育成・移植作業」についてご紹介します。

<前編>はこちら。

博士がお手植えした貴重な樹木を次世代へ

牧野博士が大泉に転居したのは、大正15年(1926年)のこと。博士は自宅のこの庭を「我が植物園」と呼び、自ら採集したり取り寄せたりした植物を植え、大切に育ててきました。

その中でも特に貴重な樹木を次世代に残すため、寄付金を活用した「後継樹の育成・移植作業」が進められています。主に博士が植えた樹木の遺伝的特徴を受け継ぐ苗を育て、区内の公園などに移植していくという、まさに未来へ思いをつなぐ活動です。

令和6年度(2024年度)は、ウメなどの後継樹の育成に成功。
また、オオカンザクラとミシマザクラの後継樹を区内の憩いの森や公園へ移植する工事も行われました。

現在、以下の憩いの森や公園で博士の残した樹木の遺伝子を引き継ぐオオカンザクラとミシマザクラを見ることができます。複数の公園に植えるのは、病気や災害による枯死リスクを分散させるためです。

後継樹の移植先

◎オオカンザクラ:西本村憩いの森(大泉学園町2-23)、土支田けやき公園(土支田2-12-2)、石泉けやき緑地(石神井台6-5-25)

◎ミシマザクラ:西本村憩いの森(大泉学園町2-23)、土支田けやき公園(土支田2-12-2)、大泉さくら運動公園(大泉学園町9-4-5)

西本村憩いの森に移植したオオカンザクラ

難しい後継樹の育成

後継樹はどのように育てられるのでしょうか。

牧野記念庭園では、「取り木」という方法を採用しています。これは、枝から発根させ、そこを切り取って苗木にするという作業です。

発根した苗は、庭園裏のバックヤード(※立ち入り禁止区域)で大切に育てられます。その後、区内に8か所ある樹木の育成場へと場所を移します。

鉢に植えた苗(※立ち入り禁止区域)

令和7年度(2025年度)は、アンズやヘラノキなどの後継樹の育成作業に取り組んでいます。

遮光のため袋掛けしている最中のウメ(リョクガクバイ)。袋の中は、発根を促すため水苔で覆われています

庭園の樹名板に付いている「の」の字のマーク(二次元コード左)は、博士がお手植えした印です

庭園の入口には「取り木」の説明と注意書きが掲示されています

博士の情熱と練馬の自然を未来へつなぐ「バトン」

後継樹の育成から移植までは、数年がかりの作業です。移植に適したサイズに育った後も、日当たりや水はけ、周囲の環境とのバランスを考慮し、最適な移植場所を見つけ出すまで気が抜けません。

皆さまのご寄付に込められた思いや願いは、牧野博士の植物への情熱と、練馬の豊かな自然を未来へとつなぐ、大切なバトンです。牧野記念庭園とともに、後継樹が新たな場所で力強く根を張り、成長を続けていく姿を楽しみに見守りたいですね。 

牧野記念庭園プロジェクトに寄付をして応援しよう

牧野記念庭園に生息している、牧野富太郎博士ゆかりの貴重な植物の保全や施設の展示などを充実させるため、令和6年度に引き続き寄付を受け付けます。
牧野記念庭園プロジェクト詳細

練馬区立牧野記念庭園

所在地:練馬区東大泉6-34-4
開園時間:9時~17時
休園日:火曜(祝日は開園、次の平日が休園)、年末年始
練馬区立牧野記念庭園公式サイト

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